バレンタインラブストーリー

お知らせ

 

作者取材のため本日のヒロイワマニアーナは休載させて頂きます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※代打でひろしマニアーナのひろし先生が寄稿してくれました

【バレンタインラブストーリー】

 

文化に歴史があるのなら

ひとりの人間にも歴史がある




あれは高校二年のバレンタインデー

いつものように授業をうけているが、みんな多少うかれている

そりゃそうだ

今日はバレンタインデー

女の子が好きな男の子にチョコを渡す日なのだから




当時彼女が居なかった俺にも好きな人くらいは居た



名前は美香

明るい性格で友達が多く

いつも笑顔で夢見がちな瞳

ほっぺたにアクセントでつけられているチーク

唇から笑うと見える八重歯

一度も染めたこともないような、艶やかで黒光りしている肩まで伸びた髪の毛


全てが可愛くて

全てが好きだった



この思いは一年間近く持ち続けていて

好きになったのは二年のクラス替えの時

友達と笑顔で話してる美香に目を奪われた


人生で初めての一目惚れ

俺の中で動揺と興奮の二つが暴れまわった



なんとか友達になろうとチャンスをうかがっていたが

それからずっと話せずに一学期が終わった




夏休み

俺は友達のよっぴーと遊ぶために秩父から飯能へ向かった

飯能につき、よっぴーに電話すると、今起きたばっかりだからちょっと待っててと言われた


真夏の暑さに身を包まれながら、仕方なく俺は改札口でよっぴーを待っていた




「ひろし君?ひろし君だよね?」


後ろの方から声がした

誰かと思い俺は振り返る


なんと声の主は美香だった


「やっぱりひろし君だ!絶対そーだと思ったよ!」

動揺した

今まで話した事もなかったし、俺は美香に片思いをしていた

とりあえず動揺を悟られないように、普通を装った


「おお!美香ちゃんじゃん!こんな所で何やってるの?」

「今友達と待ち合わせ!なかなか来なくて暇だったんだー。」

「まじかー。俺もだよー。」

「暑い日に待たせるなんて最悪だよねー!でもいいか!ひろし君と話す時間が出来たしね!」


さらに動揺

もうこの先の会話は覚えていないが、
メールアドレスを交換した

よっぴーが来るまでの間は緊張で汗が吹き出した

夏の暑さも手伝ってか、異常なほどの汗をかいた覚えがある




その日以来、俺と美香はたくさんメールもした

電話も数え切れないほどした

夏休みは美香と一緒に企画して、友達を集めて花火をした

しし座流星群が見れると聞いて二人で夜中に山に登ったが、その日は曇りでまったく星が見えなくて笑いあったりした

使っている駅が一緒ということが判明して、一緒に帰るようになった

体育祭の応援のための道具を二人で作った

文化祭の買い出しも二人で行った

冬休みには夜中二人で空き地に行って焚き火をし、アルミホイルで包まれたサツマイモを火の中に放り込んだ

焼けた一本のサツマイモを二人で食べた

年明けは俺の友達と、美香の友達と、四人で初詣に行った



日に日に美香への思いは強まっていった








そしてバレンタインデー

うかれている雰囲気とは別に、いつもと変わらない美香がそこには居た


美香は誰か好きな人がいるのか

美香は誰にチョコをあげるのか

俺もうかれている教室の一部になっていた


友達が美香に訪ねる

「美香は誰にチョコあげるのー??」


美香は答える


「ははは。好きな人が居ないんだからあげる人なんか居ないよー!」




絶望

俺は耳を疑った


多少なりとも俺にくれるのではないかという期待があったからだ

俺はショックのあまり、三時間目の体育をサボり、そのまま早退した


17歳のバレンタインデーは終わった




次の日の帰り道

いつものように美香と二人で駅を目指した



なにげなく会話をする


「昨日さー、バレンタインデーだったじゃん?周りの女の子なんか気合いいれて手作り本命チョコに3000円もかけてたんだよー!うけるよね!」

「うん。」


俺の返事に元気はない


「あとね、久美いるじゃん?ずっと好きだった和也くんにチョコあげて告白したらOKもらったんだよ!すごくない!?」

「ああ、すごいね。」

「うーん…」



重苦しい空気になる

この空気に耐えきれなくなったのか、美香が声をあげた


「なに?怒ってる?」

「別に」

「なんか嫌なことあったの?」

「別に!」

「怒ってるじゃん!どーしたの?教えてよ!」



俺は我慢出来なくなって立ち止まり、話しはじめた


「なんでわかんねーんだよ!バカじゃねえの!?」

「え?」

「俺はお前からチョコ貰えると思ってたからよ!」

「え…」

「お前のチョコが欲しかったんだよ!」

「それって…どうゆーこと??」

「だから!俺、ずっと美香の事が好きだったんだよ!だからお前からのチョコを期待してたんだよ!!」



言ってしまった

怒りにまかせて告白してしまった


美香は何も答えない



気まずい空気


耐えきれなくなり

俺は歩き始めた



すると後ろから笑い声がする


「きゃははは!」

「は?何笑ってんの?帰るよ。」

「きゃははは!だってー。」

「だって何だよ?」



「やっと言ってくれたんだもん。好きって。」

「どーゆーこと?」

「だから!私もひろしの事が好きなの。大好きなの!それと、昨日渡せなかったからさ。これ。ひろし帰っちゃうんだもーん。」


美香はカバンの中からチョコを出した


奇跡だ


奇跡が起きたんだ


1日遅いバレンタインデー


俺は美香と付き合うことになったんだ



俺はなんだか急に恥ずかしくなり、チョコを貰うと早足で駅に向かった


「いくぞ!」


「あはは!」


後ろから元気な美香の笑い声が聞こえる


そして美香は照れる俺の手を後ろに引っ張り

初めて話した言葉を口にした。


「あはは!ひろし君?ひろし君だよね?きゃはは!」




だから俺も照れながら言い返した




「おお!美香ちゃんじゃん!こんな所で何やってるの?」



すると美香は答えた











「うんとね、彼氏と手をつないでるの。」





















ってゆー童貞の妄想 

 

ヴァン先生のコラムが読めるのは

 

ヒロイワマニアーナだけ!

 

次回、お楽しみに!

 

 

 

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