美咲とビデ中野と運転手さん
こんばんわ、ヴァンです。
カシスウーロンを持ちながらオレは固まった
何故なら目の前にいるのが
脳天直撃アホ炸裂ガールだからだ
今更だが声の掛け方が悪かった
世界不況の煽りからか
ナンパの聖地と呼ばれたプロペ通りも
批判を恐れず正直に言うなら
お粗末な女のコしかいない状態
しかも
そんなお粗末ちゃんすらカラオケのキャッチに奪われる始末
今宵プロペ通りはガザ地区のように荒れていた
荒れ地で役立つ動物は馬ではなくラクダ
これはナンパでも同じ事
こんな日はライオンキングでナンパが1番
『ハクナマタタ！』
『ハクナマタタ？』
『ハクーナマタータ！』
『ハクナマタタｗｗｗ』
声を掛けても1人も立ち止まらない
1つミスを犯してるとしたら
ライオンキングを知らな過ぎた事だろう
半ば投げやりに続けてると
向こうからスレンダーな美女が歩いてきた
最後のチャンスだと声を掛ける
『ハクナマタタ！』
するとどうだ
『マライカ！』
と返してきたのだ
ええ
全く意味わかりません
でもそんな事は問題ない
心と心が繋がったのだ
こうしてHUBでカシスウーロンと濃い目のタランチュラジャンボを注文したのだが
依然としてスワヒリ語で話す女のコを前に凍りついている
名前を聞いても
『グッピー！』
出身地を聞いても
『アロワナ！』
年齢を聞いても
『マエカワ！』
趣味を聞いても
『アキモト！』
血液型を聞いても
『ヨコヤマ！』
もはやスワヒリ語でもなく
ただのお魚さんとヤスシさんだ
このやり取りの一部始終見ていた人物
所沢の英雄ことビデ中野
オレの肩を叩き感動した様子で話し出した
アフリカの貧民の事とか
ブラジルのサンバの事とか
実は関東から一歩も出てない事とか
ネットで調べた情報を自分の体験のように話してくれた
そして
帰った
勝手に美咲と名付けたこの女のコの処理に困ってる
ティータみたいにちり紙のように女のコを扱えたのなら
ホテルでズッコンバッコンして寝てる隙に忍び足で帰る事もできたろう
だが
オレにはそんな事はできない
家まで送ろう
確かに可愛い
確かに脚も綺麗
確かに目がエロい
確かに服装もエロい
だが
それが一体どうしたって言うんだ
それ以上にアホなんだぞ
タクシーに乗り込み
オレ『狭山ヶ丘駅まで』
だいたいこういうアホは
美咲も狭山ヶ丘というフレーズに反応してキャッキャしてる
改めて言うが
確かに可愛い
チンコは今にもこのジーズンのデニム生地を
破らんばかりにテント張ってる
心臓が大きく鼓動
ドクン
ドクン
ドクン
ドクン
ミラー越しに運転手と目が合う
決意した
オレ『あの・・・』
運転手『それ以上言わんといて下さい』
オレ『え？』
運転手『最初からHOTELドルフィンに向かっとります』
そう言うと左手の親指を立ててニヤっと笑った
そこまでやられたらカップルシートのある漫画喫茶に行きたいなんて言えない
ドルフィンに到着
タクシーはハザードランプで
"アイシテル"
と何故か合図して去った
お昼に起きて
ホテルの天井を見つめながら
普段は吸わないタバコを吸ってみた
白い煙を吐きながら思った
所沢ってオワってる
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