ザラキの松崎
こんばんわ、ヴァンです。
コンビニに配送されるコーヒー牛乳に
108円の値札シールを貼るバイトをしていた
天職だった
ヴァン少年は
どんな仕事でも簡単にこなしてしまうので
1つのコーヒー牛乳に2つの値札シールを貼ったり
儲け考えて[1080円]の値札シールを貼ったり
"オレはできるんですよ"アピール
ただ
社会は違った
出る杭は打つ
そんなシステムなようで
工場内で大きな問題になってしまった
生まれる時代を間違えた
オレの才能が理解される時代はまだ遠かったのだ
この国はチャレンジャーに厳しすぎる
『こんな悪質な悪戯してるのは誰だ!』
工場長の怒号が響き渡る
しかし
巨大な力を前に屈するのは犬畜生と同じ
その昔、泉●ン子の罵倒の前にキャラクターを変えなかった西●史子先生
その姿を忘れてなかった
同じようにスタイルを変えずに値札シールを貼り続けた
神の導くままに
御加護もあり
いつの間にか犯人は松崎さんじゃないか?との噂が流れた
松崎さんは50歳でこの工場では最年長バイト
オレの事を実の息子のように可愛がってくれた
絵に描いたようないい人
『絶対に松崎さんじゃない!』
と休憩室で訴えかけようと思いもしたが
あんまバイト内で馴染めてなかったから
休憩中は工場内を意味もなく歩いて時間を潰していた
工場長にフリーザ口調で怒られてる松崎さん
工場『本当に困ります、特にポ●ラから苦情殺到ですよ』
松崎『私じゃないです!もう32年も勤めてるんですよ?』
工場『私が言うのもあれですが32年もこんな所で働いてれば頭もおかしくなるってもんでしょう』
松崎『しどいっ!本当に私じゃないんです!』
工場『もうそんな事はどうでもいいですよ、クビに変わりありませんから』
松崎『そ、そんな・・・』
工場『そもそも前々から気に喰わなかったから丁度良かった、そう付け加えおきます』
松崎『・・・この野郎!』
工場『あら、やるんですか?私は喧嘩八段、怖い話九段の猛者ですよ?』
松崎『く、くく・・・』
工場『老いぼれはただ死にゆくだけ、フォッフォッフォッ』
松崎『ザラキ!ザラキ!』
工場『ん?』
松崎『ザラキ!ザラキ!』
工場『何です、それは?』
松崎『ザラキ!ザラキ!』
松崎『ザラキ!ザラキ!』
松崎『ザラキ!ザラキ!』
松崎『ザラキ!ザラキ!』
松崎『ザラキ!ザラキ!』
こうして松崎さんは工場を去った
工場長は怖い話九段のくせに
"ザラキ"という呪文に恐怖していた
そして
松崎さん退職から
丁度1ヶ月後
ザラキの効果が発揮されたのか
交通事故により
死去してしまう
まさかの事態だ
ご冥福祈ります
松崎さん
工場『マホカンタのお陰ですね、ザーボンさん』