シュナイダー貴志
こんばんわ、ヴァンです。
オレは松戸中サッカー部で
１年にしてスタメンのイケメン
ポジションはオフェンス意識の高いゴールキーパーだった
"神の子"ヴァンと呼ばれ
気持ちでは１点も取られた事のないゴールキーパー
そんなポジティブな所がまた憎めない好青年であった
しかし
そんな好青年でイケメンのハンサムのオレにもライバルが存在する
それが柏中の"神の子"シュナイダー貴志だ
これを読んでいる全国のサッカーファンにシュナイダー貴志を知らないニワカはいないはずだが
(読者の95％がサッカーファン、それがヒロイワマニアーナ)
念のため説明しておくと
シュナイダー貴志は柏中の１年で
米良さんが思わず『ギョギョギョ！』唸るほど声が高く
サッカーは正直パッとしないがウグイス嬢のモノマネに関しては右に出る者はいない
そして何より
お楽しみ会でTHE虎舞竜の[ロード]を第十三章まで唄い切るほどのエゴイストである
ちなみにオレはちょっと長めの楽曲[トイレの神様]を歌っただけで
『ヴァンって空気読めねぇな』と囁かれ
クラスメイト全員同時にトイレに立つという身の毛もよだつ事件があり
それがトラウマとなり心の底から笑う事がなくなった
なにはともあれシュナイダー貴志率いる柏中と
神様の悪戯か地区予選の初戦で闘う事になった
気持ち的には事実上の決勝戦で『神の子は２人もいらない』とオレはやる気充分
両チームの挨拶が行なわれオレとシュナイダー貴志は固い握手を交わす
ちなみにシュナイダー貴志との今までの対戦成績は
０戦０勝０敗０引分
つまり
全くの初対面だ！
手が汗ばんで不快な思いをさせてないか気になりながらも試合は始まる
ピッーーー！
キックオフ！！
ダッダッダッダダッ！
全速力で誰よりも早く相手陣地に乗り込む
その結果
開始１分でオフサイドトラップに引っ掛かる
オレがスタメン気取りのベンチウォーマーだった事が関係あるのか
審判が黄色いカードを見せびらかしてきた
そう
審判は相手チームに買収されていた
一瞬しか見せてくれなかったので確信はないけど
その黄色いカードにはおっぱいの写真が貼ってあって
試合どころじゃなくなるようする計算だろう
ふふふ
その方程式に間違いがあるとしたら
オレは中学生男子として稀な
おっぱいに無頓着な男だった事だ
時間は過ぎ
オレの出番がないまま後半戦に入る
依然スコアは０－０のラブゲーム
このままでは埒が明かない
監督に直談判
オレ『監督、オレを使って下さい！』
監督『・・・』
オレ『監督の栄光時代はいつだよ・・・着床の時か？ オレは・・・・・・オレは今なんだよ！』
決まった
これは決まった
部室にあったキャプテン翼と先輩のスパイクを売り
スラムダンク全巻揃えた甲斐があった
何なら１－０にしていいぐらい決まった
監督『キミ・・・松戸中の生徒だよね？こっち、柏中のベンチだからさ』
恐ろしいぜ
本番に強いとは思ってたがここまで本番に強いとはな
オレの茶目っ気さんよ、本番に強過ぎるぜ！
それでなんだかんだ自軍のベンチに戻り
試合に出さないと少年法の粗を使った嫌がらせをする宣言し
その心意気を買ってくれたのか試合に出る事になった
助っ人でゴールキーパーをしていた吹奏楽部の井上くんと交替
交代早々
柏中のラディッツ城台の凄まじいヘディングシュート
ゴォォォォル！
これは見事にオレの横を通り過ぎた
そう、あの日のあのコの様に
ふぅー
さすが柏中の城台だ
危うく１点取られた気になる所だった
その後も
バータック宮下、メタルクーラ今井、ナッパ杉崎の強烈なシュートが
オレの横を時に優しく時に激しく通り過ぎ
青春の終点の様なゴールネットと心を揺らした
幼少の出来事を思い出しながら少しセンチメンタルになったり
明日の給食の献立が気になりもしたがオレも頑張った
挫けそうになりながらも
１点も取られた気にはなっていなかった
そんな自分に少し酔ったりもした
結果
１２－０の大差で松戸中は柏中に破れた
だが
オレは
それでもまだ１点も取られた気にはならなかった
ちなみにこの日
シュナイダー貴志は
ベンチをしっかり温めていた
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