杉山健一という男

こんばんわ、ヴァンです。

 

 

 

『名前を聞いてもいいですか?』

 

少し躊躇したが男は答えた

 

『杉山健一です』

 

杉山健一

 

聞き覚えのある名前だ

 

そうか

 

名札にしっかり書いてあるじゃないか

 

これはうっかり八兵衛

 

『八兵衛ですね』

 

思わず口に出してしまい

 

『いえ、健一です』

 

2度もお手数掛けてしまった

 

 

 

『そろそろ用件いいですか?』

 

杉山健一という男は実に仕事熱心だ

 

それに応えるように深刻な表情浮かべ

 

『言い難い事ですが落ちているドングリを口に詰めてました』

 

一瞬驚いた様子

 

『38個までは順調に詰めましたが』

 

眉を寄せて聞いてくれる

 

『39個目を詰めようとしたその瞬間』

 

唾を飲んだ音が鳴った

 

『2個のドングリを飲み込んでしまいました』

 

"こんな事態は初めてだ"

 

恐らくそういうニュアンスの表情だった

 

『腹痛も5日目です』

 

困った様子で考える杉山健一

 

『どうしたらいいでしょうか?』

 

プレッシャーを与える

 

 

 

 

 

そして

 

ついに

 

杉山健一が

 

その

 

重い口を

 

開いた

 

 

 

 

 

 

 

『それでしたら内科の病院に行きましょう』

 

 

 

 

 

所●市役所

 

市民課

 

杉山健一

 

今日も真面目に働いてます

市民野郎

市民野郎