ガイチ主義
こんばんわ、ヴァンです。
桜が舞い吹雪いた夜
おぼろ月と千鳥足
彼はグループの最後尾を歩いていた
これが
最後の記憶
ギバニは物静かな男で
友達の中では珍しく真面目なタイプ
オレとは正反対の性格
だから
同じグループに居てもあまり接する事がなく
ギバニに対しては仲間意識もそれほど持っていなかった
見た目もはっきり言うと
ネルシャツにメガネが似合うオタクって感じ
その風貌もあって
ヤンキーに絡まれたりもした
いつもの5人
ヴァン
原
ハァサン
廣三
ギバニ
で遊んでいる時に
ふと気付くとギバニがコンビニの外でオラオラされてたり
そういう時はだいたい原が助けに行くから
オレはそのままジャンプを立ち読みしてたりした
助ける気はせず
むしろ呆れていた
でも
”所沢のイモ野郎”と呼ばれた事から発展した
昭島との抗争の際に気付かされた
昭島の公園で5対8の決闘
勝てないと踏んで謝り続けるオレの横で
殴られても頭を下げる事のなかったギバニ
オレよりも芯がしっかりとしている
そんな思い出を振り返るのも何度目だろう
昭島のあの公園のあの桜
ボコボコにされフラフラ
酔ってもないのに千鳥足
ギバニは5年後に病気で逝去してしまったが
最後の記憶は今でも痛烈に覚えている
あの敗北感が今となっては強さになり芯を支える
ヴァンが16歳で
ギバニが17歳
そして
彼が32歳の頃の話だ